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「な、なあヒイロ……もうそれくらいでいいからさ」
シャワーを浴びて出てきたデュオをヒイロは待ち受けていて、濡れた髪を乾かしてやると言って、デュオを寝室へ連れていった。 正直言って、これだけ長いと乾かすのも梳るのもなかなか大変。だから、ヒイロの申し出は結構うれしいものだったのだが……デュオはヒイロの視線に、素直に喜べないものを感じていた。それでもまあ、折角のヒイロの「好意」を断る理由はないので、デュオはお願いすることにしたのだが……。 「おまえ丁寧すぎんだよ。ちゃっちゃと梳いて、ぱっぱと乾かして、それでいーんだって」 「おまえのやり方が簡単すぎるんだ」 「あ、あのなあ……」 先日美容院のお姉さんにあまり乾かしすぎるとかえって髪を痛めるから……と忠告(?)されたのを思い出し、それを言おうとしたが、ヒイロは決してドライヤーの熱風を当てすぎることもない様子で、デュオは文句を言うタイミングがつかめなかった。 「……よし、これくらいでいいだろう」 ヒイロは満足したらしく、デュオの髪をブラッシングしている。 「編むんだろう?」 「え、あ……でも。別にこれから寝るだけだし。明日の朝に編むから」 遠回しに断ったデュオを、ヒイロはじっと見つめている。 「なんだよ、その目は! なんか俺、悪いこと言ったか!?」 ヒイロはデュオの髪を一房取ると、愛しげにくちづけた。 「お……おい……」 「三つ編みしたい」 「あのな」 「デュオ……」 じっと見つめてくるヒイロの様子は、まるでじゃれてこようとするドーベルマンを思わせて、可愛いのか恐いのか分からない迫力がある。 「わ、分かったよ! じゃ、三つ編みしてくれよ」 そう言うまで離さないぞ、と言わんばかりのヒイロの視線にデュオは根負けしてしまった。 「了解」 ああもう……。 デュオのため息にも気づかず、……いや、気づかないふりをしているだけかもしれないが……ヒイロは生真面目にまたデュオの髪を梳き始めた。 きれいに3つに分け、編み始めるのを感じて、デュオは呟いた。 「緩めでいいぜ。すぐほどくし」 「しかし」 「もう寝るだけなんだってば。本当は編む必要なんてないのに」 デュオの言葉に、ヒイロは機嫌が悪くなったらしい。 「……」 ヒイロの無言のまま睨みつけてくるのに耐えられる奴なんているんだろうかと、デュオは時々泣きたくなる。どうして気に入らないことがあるとこいつは黙るんだろうか。 「な、ヒイロ……じゃあさ、明日の朝、三つ編みしてくれねえかな」 「明日?」 「うん。朝ならきっちりきつめに編まなきゃ邪魔になるし。……あ……でも、朝はおまえも忙しいもんな。やっぱ無理か」 ぽつりと付け加えるように呟いた最後の言葉に、ヒイロは首を振った。 「無理なことなどない」 「……なにムキになってんだか……」 そう言いながら、デュオはそっとヒイロを振り返る。 「じゃ、朝はきつめに編んでくれるか? でも今は緩めな。すぐ寝るだろ? それとも……おまえまだ寝ないの?」 ヒイロは瞬いた。デュオの瞳がやわらかい光を放ち、優しく細められる。穏やかな表情のデュオにヒイロは思わず息を呑んで見つめ……そんなヒイロにデュオは軽くくちづけた。 「早く、編んで。編めたら……しよ」 ヒイロの手からデュオの髪の束が流れ落ちた。ヒイロの首に腕を絡め、しなだれかかるようにデュオはヒイロに抱きついてくちびるを重ねていた。 「やっぱ……三つ編みは明日で……いい?」 甘くかすれるデュオの声に、ヒイロは抗する術がなかった。 「……ああ」 艶やかな光を湛える栗色の髪が、背中をさらさらと流れる。ヒイロはデュオの髪を持ち上げながらデュオをベッドに横たえ、くちづけをかわした。 翌朝。 ヒイロはデュオの髪を楽しそうにいじっていた。デュオはというと、まだ眠いのかあくびをしつつ三つ編みができるのを待っている。 「できたぞ」 少しばかり声にうれしそうな誇らしげな色が混じっているようだ。そんなヒイロの様子がデュオには年相応な少年らしさを感じさせてうれしかった。いつも冷静で落ち着いた印象のあるヒイロが、何かに執着して子供っぽく独占したがるなんて。しかも……その対象がデュオだなんて。ただそれだけでデュオは心が浮き立っていた。 「さんきゅな」 デュオはベッドから立ち上がるとヒイロを振り返った。デュオの背中で三つ編みが跳ねた。 |
こ……こんな感じで良いのでしょうか? ヒイロの三つ編みフェチっぷり(笑)は、私にはこれが限界……。 でも、ヒイロがデュオの髪を毎日を洗ってあげて、乾かしてあげて、三つ編みもしてあげてるとしたら、デュオはずいぶん楽ちんですよね。……いいなあ〜。ちょっとデュオがうらやましいです(苦笑)。 |
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