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「おかえりなさい」
 夕暮れ、ウィナー邸に帰り着いたデュオは、カトルに出迎えられた。
「ただいま」
 夕闇の迫る中、カトルは穏やかにうれしそうにデュオを出迎え、駆け寄ってデュオを抱き締めた。
「会いたかった」
「うん……俺も」
 今回は長かったね、とか、疲れた? とか聞かれながら、思ったより長引いちまって悪かったな、とか、そうだな……疲れたな、などと呟いて返す。
 本当はそんなやりとり、ふたりともどうでもいい。ただ、相手の声が聞きたくて、話す時のくちびるの動きや目の動きや、息遣いが知りたかっただけだった。ここにいて、隣で話している……それは通信画面の向こうで微笑む互いを見つめているのとは全く違う感覚だった。
「あー……疲れた」
 カトルの部屋に入った途端、デュオは長いすの上に持っていた荷物を落とし、カトルに抱きついた。
「お疲れさま」
 顔を伏せてしがみついてくるデュオを抱きとめ、優しく背中を撫でながらカトルは微笑んだ。
「寂しかった……」
「俺も」
「……うん」
 そっと顔を上げたデュオに、カトルは軽くくちづけた。まずは頬に。そして目尻に。額に。
「……カトル」
「なんですか?」
 鼻のあたまにそっとくちづけ、くすりと笑った。
「なんだかくすぐったい」
「いいじゃないですか。久しぶりなんだから」
 ひさしぶりでなくても、カトルからのキスは心地良いから好きだ。でも、なんだかとってもくすぐったい。うれしいけど気恥ずかしいような。うまく……言えないけど。
「好きだよ」
 そんなの知ってる。けれど、いつだって何度でもそう囁いてくれるカトルの声が、心が好きだった。
「ん……俺も。俺も……カトルが、好き……だよ」
 言い終えた途端、デュオはついばむようにくちびるにキスを落とされた。
「デュオ」
「……ん」
 愛しげに名を呼ばれ、それが肉声なのだとしみじみ感じて、デュオはカトルが目の前にいるのだと実感した。
「カトル……」
 デュオは薄く目を閉じながら顔を寄せ、カトルのくちびるにキスをした。
「しばらくはこうしていられるよね」
「ん」
 ちょっと頬を上気させたデュオは、それでもうれしそうに微笑んでカトルを見つめていた。

いかがでしたでしょうか?
らぶらぶなカトルとデュオ……になってるかな? ただひたすら相手のそばにいたい……と思っているふたりでした。
よかったら感想お聞かせくださいね。ではではまた。

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